永田エンジニアリング株式会社

 技術紹介/流動層選別技術
乾式流動層選別技術
水を使用しない選別技術
現在広く用いられている選別技術として、ジグ選別や重液選別などの湿式比重選別技術が一般的に知られています。これらの技術は水を使用することから、水資源に乏しい地域や寒冷地では利用が困難であったり、廃水処理などの大規模な付帯設備が必要になるなどの側面を持っており、これらが利用上の問題となるケースも少なくありません。

そのような課題に応えられるのが選別媒体として粉体を用いた当社の乾式比重選別技術「流動層選別」です。水を全く使用しないため、用水の確保や輸送、廃水処理などは不要であり、環境にやさしい選別技術です。

流動層選別技術とは
粉体の層を下部からの送風で流動化させると、粉体の層には気泡が発生し、沸騰した水のような状態になります。このような状態の粉体の層を流動層と言い、密度や粘度などが液体に類似した性質を持つことが知られています。

流動層の中に物体を入れると、流動層の密度よりも密度の小さな物体は浮き、密度の大きな物体は沈みます。このように、流動層を選別媒体として用い、物体の密度差を利用して流動層の中で浮き沈みさせて選別するのが流動層選別です。

流動層の密度の調整
流動化させる粉体の種類を変えることにより、流動層の密度を調整することができます。シリカサンド、ジルコンサンド、鉄粉などの市販されている入手の容易な粉体を利用することができ、これらの粉体を流動化させると、流動層の密度は粉体各々の粒子密度に応じた値をとります。例えば、粒子密度7.4g/cm3の鉄粉を流動化させた場合には流動層の密度は4.0g/cm3程になります。また、密度の異なる2種類の粉体を混合して用い、その混合比率を変えることにより0.6-4.0g/cm3の範囲で細かな密度調整もできます。

流動層選別技術は、選別したい混合物の密度構成や要求される分離点(選別の基準とする密度)に幅広く対応可能です。

シリカサンド

ジルコンサンド

鉄粉
  

流動層選別技術の特徴
●水を必要としない乾式選別機
水や重液を一切使用しないため、水循環システム、廃液処理設備、乾燥設備などを必要としません。
●密度差0.2g/cm3以上の選別に適する
物体の比重差に基づいて浮沈選別するため、高い精度で選別できます。処理物の組成や形状にもよりますが、密度差0.2g/cm3以上の物体の選別が可能です。
●粗粒子の選別が得意
処理物の形状や密度にもよりますが、50~10mm程度の粗粒子の選別に適しています。
●市販の粉体を利用可能
流動化させる粉体は市販の入手容易なものを適用できます。粉体はシステムの中で循環利用するため、消費量をわずかに抑えることができます。
●選別の境界となる密度を0.6~4.0g/cm3の範囲で設定可能
選別媒体として用いる粉体を変えることで流動層の密度を広範囲に調整できるため、様々な混合物の選別に適用できます。

連続式流動層選別機
連続式流動層選別機は、選別原料の供給システム、浮沈選別された浮揚物と沈降物の搬送システム、および浮揚物と沈降物の回収システムで構成されています。


選鉱分野への展開 ―開発中―
当社は、2008年に資源リサイクル分野での流動層選別の実用化に成功しました。その経験を活かし、選鉱分野への流動層選別技術の応用を検討しています。
ラボ試験からパイロット試験まで石炭選別の検討を重ねた結果、流動層の密度を調整することで、原料炭と電力用炭をジグ同等の高い精度で生産できることが明らかとなりました。
これらの成果をもとに、現在当社では選炭用の大型流動層選別機を開発しています。

石炭(原炭)
石炭の選別結果例(処理原炭サイズ:10-35mm)
原料炭生産
電力用炭生産
※各産物の比重構成の分析結果(比重調整液による分析)

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